SSブログ

木の家づくり その2 木の搬出 [木の家づくり体験記]

樹齢80年の木を切るのにかかる時間は、チェーンソーを使えばわずか数分です。
ドーンと木が倒れるとき、大地の響きが心に伝わってきます。

切り倒された木は、当然ながら枝や葉がたくさんついています。
それを切り払い、丸太の状態にしてからワイヤを掛け、バックホーのような重機である程度広いところまでずりずりと引きずっていきます。
そこで、車高の低いトラクターのような車に、ワイヤが掛かった原木を、重機を巧みに操作して積み上げます。長さ20m以上になる原木をワイヤ1本で引き上げ積み込むのは、かなりの技です。この仕事をするのが、原木商といわれる人々です。
そこからさらにかなりの急斜面、周りに木がたくさん生えているところを縫うように上り下りして、ようやく舗装された林道に至ります。
日本の山は急斜面が多く、木を切るだけではなく搬出にも、相当の手間と技術が要ることがわかります。

欧米の森林は平原が多く、そこで大規模に伐採するため、コストが低いと言われます。
しかしその行為は自然環境に大きなインパクトを与え、そこで暮らしていたかなりの数の動物たちを追い払ったかもしれません。
木は自然素材で健康によい、といっても、そのようにして産出された木だとしたら、単純に喜んではいられなくなります。

山の自然環境への影響をできるだけ少なくし、切った分植林してまた育てる。
その循環が保たれるには、木が育つ時間の間木を使わないといけません。そこで、50年以上は使える家づくりが大切になります。


木の家づくり その1 木の伐採 [木の家づくり体験記]

去年から、木の家づくりを体験中です。
どこが始まりか、はなかなか判定しにくいですが、もうずっと前からやっているような気がします。
「木の家」を実感した大きな体験は、木の伐採でした。
埼玉県ときがわ町の、樹齢約80年高さ約25mのスギ4本、切らせていただきました。
唸りをあげるチェーンソーが木の身にガッと食い込みその心髄を断つ時、まるで血飛沫のような木飛沫があがります。
勿体無い、を超えた、自然に対する畏怖を感じました。
その木はときがわの山で80年過ごしましたが、今後は場所を変えて第二の人生を、家を支えてくれながら歩むことになります。
そんなことを思うと、自分の家とはいえ到底自分だけのものとは思えません。
木を植えてくれた人、育ててくれた人、材木屋さん、設計者、大工さん、職人さんなど多くの人たちの手によって家が作られるなかに、自分も参加できることをありがたくうれしく思います。

都幾川の深く豊かな山


この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。