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木の家づくり その15 木組み [木の家づくり体験記]

上棟直後は、木構造が一切隠されない状態で見えるので、ある意味で家が最もきれいに見える時かもしれない。
このときに美しく見える家は、構造と間取りがよく調和し、完成したときにも美しく見えるのではないだろうか。
また、隠れてしまう継ぎ手、仕口などは、この時点でよく確認することが大切になる。

基礎と土台を緊結するホールダウン金物

渡り顎による木組み

登り梁

「木の家だいすきの会」看板が設置されました。

●●●今週土曜日、8月4日午後1時半より、新宿初台東京オペラシティ1Fにある木童ショールームにて、木の家づくりセミナー&展示会を行います。テーマは「ふるさとの木で家をつくりませんか 木と漆喰で和風モダンな家づくり」、講師は建築家 中村展子さんです。
ぜひご来場ください。くわしくは下記をご覧ください。

http://www.kinoie.org/seminor070804s.html


木の家づくり その14 上棟 [木の家づくり体験記]

基礎の上に土台を敷く。
その後、柱や梁を一気呵成に組み上げる「上棟」は、工事のクライマックス、最も重要な場面のひとつである。
上棟で、家の基礎的構造が完成する。

柱が立ち梁でつながれ組み上がっていくさまは、まさに都市に森が再生される感がある。

クレーンで材を搬入。狭く、電線もあるので慎重に。

大工さんがお清めし、「いの一番」から建て始めるのが、本来の建て方。

大黒柱が1本立つ。

黒木棟梁「サグラダ・ファミリアのようだ。。。」

半日ほどでこのくらいまで進む。鳶、大工さんが木槌で叩いて締めるが、本締めは後で、全体の水平バランスを見ながら行う。

1日目夕方、工事関係者にご祝儀。

上棟




木の家づくり その13 製材 [木の家づくり体験記]

現場で地盤改良や基礎工事が行われる一方、木材の加工が飯能市の細田材木店で行われた。
代表者の細田博之さんも、木の家だいすきの会のメンバーである。

仕口や継ぎ手の加工は、プレカット(機械による自動加工)と手刻みの併用とした。
プレカットでできる分はそれでやればよいが、できるだけ接合金物を少なくし、木と木の組みによる工法を用いる場合、大工さんの手刻みは欠かせない。現在の木造建築の基準では、金物を用いた構法が中心となっているが、伝統的な木組みは千年以上の歴史があり日本の風土や木の使い方に馴染んだもので、適切な材料で適切に施工されれば、歴史が証する合理性、耐久性がある。近年、プレカットによって手刻み仕事が大幅に減っているが、それができる大工さんと技術を継承することは、日本の建築にとって大変重要であると思う。
DHでも接合金物は使うが、なるべく少なくし、長ほぞ込み栓、追っかけ大栓継ぎなどを用いている。

製材屋さんにはCADオペレータがいて、プレカット図面をCAD製作し、それがそのまま加工機械への入力データとなる。建築の実施図面とはまた異なる表現で、興味深い。

細田木材店で加工される大黒柱

DHの土台は、構造材で唯一埼玉県産ではなく、青森県産のヒバである。
ヒバは耐久性、耐蟻性に優れ土台には最適の材である。私の都市計画業務(ハーツ環境デザイン)の原点である青森県大畑町でいっしょに仕事をした、NPOサステイナブル・コミュニティ総合研究所(SCR)メンバーの一人が製材業をされており、紹介していただいた。土台にアオヒバが使われることは、構造面だけではなく精神的にも支えになってくれる。

細田木材店で加工されるアオヒバの土台


木の家づくり その12 基礎立ち上がり部施工 [木の家づくり体験記]

耐圧盤の養生(中1日~本来なら冬でもありもう少しほしいところ)の後、立ち上がり部の型枠が組まれ、続いてコンクリートが打設された。

型枠工事

大黒柱を載せる箇所

コンクリート打設

打ちあがったところ

やはり基礎は大事なので、鉄筋の少々のずれは気にしないことにしても、しっかりできてくれるとほっとする。
あとは十分養生させたい。今年の冬は暖冬で、凍結の心配はさほどなかったのは良かった。


和光DH現場漆喰セミナー開催しました

7月22日(日)、木の家だいすきの会で建設中の和光DHで、漆喰セミナーを開催しました。

巧左官工芸の鈴木忠さん(巧さん)が、だいすきの会で建設中の3軒の住宅の漆喰サンプル作りを行い、参加者はそれを見るとともに、サンプルボードに自ら漆喰を塗ってみるなどの体験をしました。

どのような部屋にしたいかなど、施主の意見を聞きながら、様々な材料を用い、様々な質感、色合いのサンプルが次々と創りだされていきます。

素材では石灰クリームをベースに砂、珪砂、軽量骨材、藁などが使われました。色は、顔料(粉末)、染料(草木染め)の多数の色が使われます。これだけ多くの色彩を使いこなすのは巧さんだけで、多くのオリジナル作品が生み出されてきました。

漆喰セミナーは、毎回多数の参加者があります。
巧さんの、創造性にあふれた漆喰の世界を堪能した1日でした。

今日サンプルを作った和光DHの完成見学会は、8月11日(土)の予定です。
巧さんの手による漆喰が外壁、内壁に広がる木の家を、ぜひご覧下さい。


巧左官工芸 鈴木忠さん

巧左官工芸の鈴木忠さん(巧さん)は木の家だいすきの会メンバーで、本ブログの
セミナー 木の家新宿セミナー でも紹介した方である。
巧さんのホームページは
http://www.jade.dti.ne.jp/~takumi/

巧さんは、生粋の職人、こだわりの職人であり、芸術家でもある。
同時に、顧客の希望を大変に重視し丁寧にくみ上げたうえ、それを漆喰のプロとして仕上げていくというセンス、思いやりも持った方だ。

同じように調合した漆喰でも、仕上げ方のちょっとした違いや光の当たり方、角度で非常に違ったものに見えてくる。使う空間の広がり方によっても異なる。素材、仕上げの質感、色、光の具合や角度、空間の広がりなどを総合的に捉え、イメージを豊かに膨らませ、そしてそれを実現する確実な技術をもっているのが巧さんだ。色を見る目は驚くほど豊かで繊細だ。 漆喰の概念が大きく広がる。

和光DHの外壁仕上げ、内装仕上げもいずれも巧さんにお願いしている。
昨日は、私が作った色のイメージ(スケッチブックに色鉛筆で描いたもの)を使いながら、巧さんと現場で部屋ごとの漆喰イメージを話し合い、確認した。大きな空間の仕上げは木に合うものとして共通にし、小さな部屋では、自然染料「草木染め」を使いながら、少しずつ異なる仕上げにしていくことになった。

漆喰のベースとしては、イタリア産の石灰に、熊本産の赤貝灰を2:1でブレンドしたものを使っている。
この赤貝灰は国内では3社しか生産していず、巧さんが現地の工場で見て確認し、直接工場から仕入れているという。灰を入れることで、ひび割れがしにくくなるのだそうだ。ただしこの灰がいつまで生産されるか不明で、また巧さんのブレンドも日々変化発展し続けている。

1階のトイレは階段下にあり、コクーン(繭)の中に入ったような空間だ。奥に小さな窓がある。巧さんと話しているうちに、そこを単にトイレとしてだけではなく瞑想のできる空間とし、淡い青緑の漆喰を基調としてアクセントにカウンター棚を用いて濃い青緑とし、そこに小さな壷をおいて香を焚く、などのイメージが見えてきた。これは楽しい。DHに、もうひとつ、隠れたみどころが加わる。


巧さんの使う様々な色の素材と、サンプル


第3回 浦和セミナー開催しました

7月21日、埼玉会館で木の家だいすきの会浦和セミナーを行いました。
講師は、このブログでも紹介した渡邉義孝さんです。
(本ブログ記事 建築家の紹介 渡邉義孝さんをご覧下さい。)

テレビ番組に紹介された映像も交え、習志野の自邸を中心に、古い住宅のリフォームの注意点、木の使い方、風や光の取り入れ方、ハウスメーカーの住宅と木の家の違いなど、話がありました。

今回の参加者は4名で、いろいろな立場の方がいらっしゃいましたが、みなさん大変良かった、とおっしゃっていただきました。

浦和セミナーは8月はお休みし、次回は9月15日です。
それまでの間、木の家の完成見学会、上棟見学会などもあります。

木の家づくりに関心のあるかた、ぜひご参加ください。


木の家づくり その11 耐圧盤コンクリート打設 [木の家づくり体験記]

配筋検査が合格したら、次は基礎コンクリートの打設になる。
ベタ基礎の場合、通常はまず耐圧盤(底盤)を打設し、養生ののち、立ち上がり部の型枠組み、コンクリート打設になる。

打設に先立って、配筋の間隔などを最終チェック、微調整。

ポンプで生コンクリートを打設、振動機を入れて十分に行き渡るようにする。

数人で振動、突き、均しなどの作業を同時に行っていく。固まってからでは遅いのでチームワークが大切。

打ちあがった状態。

2月で寒いので、凍結防止が重要。打設後はシートをかけて養生する。
コンクリート固化熱が出るので、それを逃がさないため。シートの中に手を入れるとほんわりと暖かく感じられる。

なお基礎工事を仕切るのは、鳶職人である。

鳶職人は、もともと高所作業をする職人であり、江戸時代には火消しもしたということで、消防出初式で梯子の上で芸を披露したりする。
足場とともに杭工事もするので、それが広がって現代の建築では基礎工事までも鳶職がやるようになっているのだと思う。

鳶については、木の家だいすきの会大沢宏さんのブログにも書かれています。
http://sa-chon.moe-nifty.com/koupw/2007/06/post_e864.html

鳶の親方は頭(かしら)と呼ばれ、工事だけではなく、まちのもめごとの解決も仕事らしい。
そう言えば、DHのかしらも町会議員だった。。


日経新聞に載りました セミナーご案内

7月21日(土)の木の家づくり浦和セミナー、22日(日)の和光漆喰セミナーが、今日20日の日経新聞埼玉版のインフォメーションコーナーで紹介されました。

木の家の設計や、漆喰について、実体験を踏まえたお話をします。また漆喰は、サンプルづくりなども見ていただけます。

楽しいセミナーになると思います。
できれば予約いただければ幸いですが、当日飛び入り参加もできますので、どうぞお越しください。

なお和光の現場は、新聞では和光市駅からバス、となっていますが、本数が少ないです。
徒歩だと13分くらい、タクシーなら5分です。
当日、場所のご案内などご不明な点は、携帯080-6628-4441までご連絡ください。
セミナーについて、詳しくは木の家だいすきの会ホームページをご覧ください。
http://www.kinoie.org


木の家づくり その10 配筋工事 [木の家づくり体験記]

捨てコン打設の次は、配筋工事となる。

今回は私は施主兼設計チームの一人という立場であり、細かなことの批判を書くつもりではなく、ひとつの現場の経験から、改善できるのではと思われる点を考えてみたい。

基礎の幅は150mmでありこれはほぼ標準。これに縦筋D13が入るのは良いとして、その上部のフックである。フックのR(直径)は50mm程度あった。これは鉄筋業者の持っている加工機械の能力に拠るらしい。40mm程度にできるものもあるようである。曲げ加工の直径は鉄筋径の3倍以上(D13の場合)となっているので、39mm以上となる。
D=40mmの場合、幅150mmのなかに納め、かぶり厚40mmを確保するためには、計算上は、
(150-40-13-13)/2=42
より、施工誤差は2mm以内でなければならない。

これは、現実的には極めて難しい。
DH現場でも、フックの先端が型枠につきそうになっていたところがいくつかあり、それは直した。

木造住宅基礎で、縦筋の上部にフックが必要か(そのために被り厚が小さくなるが。。)?
さらに、鉄筋が密集している箇所には、コンクリートは正しく充填されるのか?
施工精度は、どの程度まで求められるべきか?
設計者、施工者や施主の方のご意見をいただければありがたい。

基礎は一度作ってしまったら見えなくなり、作り直しはできない。
個々のことに完璧を求めることは無理だし重箱の隅を突くことになって意味が無いが、配筋がどのような状態にあるか把握し、全体として基礎の安全性が確保されていることを確認することが必要である。

現場監理として、基礎は最重点項目のひとつになると思う。

●●●
 今週末は、土曜日は木の家づくり浦和セミナー(講師 建築家 渡邉義孝さん)
 埼玉会館にて、午前10時~。
 日曜日は、和光DHの現場で漆喰セミナー(講師 左官職人 鈴木 忠さん) 午前10時~、午後1時半~。
 くわしくは、木の家だいすきの会ホームページをご覧ください。
 皆様のご参加をお待ちしています。


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