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Great Urban Places in Asia 81 - 香港 Hong Kong 1 [アジアの都市探訪]

 香港の景観として、林立する超高層建築群が大きな特徴である。国際金融センターとなっている香港島北部の中環地区を中心に、ビクトリア湾岸の狭い平地に超高層のオフィス建築が建てられ、世界的に著名な建築も少なくない。また、その背後の傾斜地にも超高層住宅が多数立地し、その足元にある庶民的な界隈とあいまって独特の都市景観が形成されている。香港島の対岸の九龍地区にも近年超高層建築が相次いで建てられ、超高層ビルによる国際ビジネス拠点、観光都市形成競争が進められている。

香港島の地区 Districts in Hong Kong Island
中環 The Central
 香港島の北部ビクトリア湾沿岸に位置し、超高層ビルが林立する香港経済の中心。金融はじめ世界の大企業が支店を置き、大型商業施設が並ぶ。1842年アヘン戦争に勝利したイギリスが、香港で最初に植民地開発を始めた場所であり、以来、香港の政治経済の中心地である。
中環は、平地は非常に狭く、すぐ背後には急傾斜の山が迫っており、高度に応じて多様多層の土地利用となっている。狭い幅の沿岸地帯には超高層ビルや高級商業施設が並び、その背後の山側にはローカルな庶民店と高級店が入り交じった低中層地区があり、さらに背後の急傾斜地には超高層アパート群があり、さらに高度があがると戸建の高級住宅地域となる。

地下鉄中環駅付近 MTR Central Station area
高級ショッピングセンターや超高層オフィスビルが並ぶ。街区はスーパーブロックではなく一般的なサイズで、街路は街を分断するほどの幅員ではない。幹線街路沿いには高級ブランド店が並ぶが、街路に対しては閉鎖的で開口部が少なく、歩道上に見られるアクティビティは歩行が中心である。自動車、バス、トラム(路面電車)、歩行者ともにひっきりなしに多方面に行き交う。
トラムは主要な公共交通であるばかりではない。車両全体がひとつの広告ユニットとしてラッピングデザインされ、動く点景として香港の都市景観に欠くことにできないものとなっている。

香港トラム駅.jpg
超高層街区にあるトラム中環駅。時として3~4台連なって来ることも。


(続く)
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Great Urban Places in Asia 81 - メトロマニラ Metro Manila 6 [アジアの都市探訪]

ボニファシオ Bonifacio
ボニファシオはマニラ首都圏の一角にある中上級階層向けの新規都市開発地区であり、フィリピンで経済的に最も裕福であるマカティMakati市にある。ここはかつて軍用地であった。2003年に民間ディベロッパーが用地を取得し、ボニファシオ・グローバルシティと銘打って、政府の旧軍用地開発部局と共同で都市開発を始めた。現在の都市が姿を現し始めたのはまだここ数年のことで、真新しい現代都市である。大規模な商業、住宅開発がなされ、非常に多くの人たちが働き、買い物や食事に来て賑わう。
ボニファシオの中心部にハイストリートと呼ばれる地区がある。これは太い軸状の緑地を中心としてその両側にハイエンドのショップやレストランを配したもので、緩やかな勾配を活かして座るスペースが設けられるなど、安心して快適にくつろげるパブリックスペースとなっている。街は基本的に歩車分離され、車道は広く、歩行者は歩行者専用デッキや建物内、あるいは歩道を通るようになっている。

 ボニファシオに行くには、最寄りのMRT - Metro Manila Rail Transit Systemアヤラ駅からバスかジプニーを利用するのだが、駅からそれらの乗り場まで案内がほとんどないのでうろうろしてしまった。MRTは切符の自販機がなく窓口で買うのに列ができている。エレベータやエスカレータはなく階段のみで狭い。電車は5~6分おきに来るのだが非常に混んでおり、女性専用車もある。混雑時にはホームへの入場制限がかけられていた。

ボニファシオ.jpg
ボニファシオのハイストリート
ハイエンドなレストランや店舗が面する緑の軸となっている。

(続く)
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Great Urban Places in Asia 80 - メトロマニラ Metro Manila 5 [アジアの都市探訪]

エルミタ、マラテ Ermita and Malate
エルミタ、マラテはマニラ都心部の旧市街地である。歴史地区イントラムロスに接し東西約1.5キロメートル、南北約4キロメートルで、マニラのビジネス、金融、商業、文化、教育、行政の中心地区である。
 この区域内には大きな格差がある。クリスマスのイルミネーションが鮮やかで、裕福な階層の人たちで賑わう大型ショッピングセンターがあり、そのすぐ隣では、継ぎはぎだらけの小さな木造の小屋に人々が暮らしている。路上生活をしていると思われる幼い子どもたちが歩道や歩道橋に座ったり寝たりしている。この大きな差が、大きな差でないごとく、人々は日常的に共存している。
 同じエルミタ、マラテでも主に裕福な来客向けの店が多い地域と低所得の住民向けの地元店が多い地域がある。店は地元店もあり、チェーン店もある。地元の食堂は開放的で店先で調理し、客はそこで注文するので店先に人が集まる。それらの建物は低層で寄りあい、壁面はグレーかベージュ系が多いが中には原色もあり、熱帯の空の下に映える。
 マラテ南部には大きな果物野菜市場があり、その周辺にも多くの露店が出る。人やジプニーが盛んに行き交う。その近くには狭い路地を挟んだ低層高密の低所得層向け住宅群もある。路地に洗濯物が干され、様々な物が置かれ、子どもたちが遊んでいる。なかには裸の子もいた。
 この地域には貧富の格差、交通、排気ガス、衛生、狭く老朽化した住宅など様々な課題がある。人々はその状況下で、都市を生活の場として使いこなし、たくましく生きている。この地区が再開発され、現代的な高層都市になることが適切とは思えない。容易ではないが、この生活感やヒューマンスケール感を守りながら、小規模の改善事業を継続してくことがベストではないか。

ermita.jpg
エルミタ地区のローカルレストラン。地元客によく利用されている。

(続く)
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Great Urban Places in Asia 79 - メトロマニラ Metro Manila 4 [アジアの都市探訪]

キアポ Quiapo (続き)

広場周辺の道路は狭くそこにびっしり露店が並び、人であふれ、その中をジプニーや荷車が人を押し分けながらゆっくり進んでいく。ジプニーとは米軍から払い下げられたトラックを改造した小型バスで、車体に表示された一定のルートを走る。乗客はそのルート上であれば好きな場所で乗り降りできる。客席はかなり狭く天井は低い。

キアポジプニー.jpg
キアポ地区の狭い街路。露店と人の合間をジプニーがなんとか通り抜ける。

 教会から普通に歩ければ3分もかからないところに、生鮮品を扱うキンタ・マーケットがある。外観はかなり老朽化しており、内部は広く暗く、多数の裸電球が吊るされ、そこで肉や魚がビシバシと捌かれる。表側は野菜売り場で、12月でも色とりどりの野菜果物であふれていた。

(続く)
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Great Urban Places in Asia 78 - メトロマニラ Metro Manila 3 [アジアの都市探訪]

キアポ Quiapo
 キアポはマニラの中心市街地のひとつで、歴史地区イントラムロスと川を挟んで隣接している。最寄りの高架鉄道LRT-Manila Light Rail Transit System-駅下の歩道は露店がぎっしり立ち並び、ようやく通れる程度のすき間を抜けて行くとキアポ地区に入る。そこには音響機器専門店が集まるブロックもあり、各店競って大型スピーカーを大音量で響かせ腹にズンズン振動が伝わるほどだった。
キアポ教会は地区の中心にあり、1582年にスペインによって建立されたカトリック教会である。ちょうど日曜日であったためか、教会広場には食べ物、衣類、風船などなど様々な露店や売り子が出て、大変なにぎわい、喧噪であった。

キアポ.jpg
キアポ教会前の広場は人々とアクティビティで満ちあふれる

(続く)
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