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Great Urban Places in Asia 19 - カトマンズ盆地の旧王国都市 3 [アジアの都市探訪]

ダルバール広場 Durbar Square

 ダルバール広場とは王宮が集まった場という意味で、ネパールではかつての王国だった諸都市にダルバール広場がある。カトマンズ盆地の3都市、カトマンズ、パタン、バクタプルのものは特に著名で、3つとも世界文化遺産に登録されている。
 カトマンズの王宮については、古くは3世紀に建設されたといわれるが、たびたび取り壊し、再建、補修などがなされ、当時の建築物は残されていない。ダルバール広場の建設開始時期についても明確な記録はないが11世紀にはじまったものとされ、カトマンズの最初の独立王朝であるマッラ(Malla)王朝が16世紀にタレジュ寺院(Taleju Temple)を建てた。この寺院は基壇部の上に上部ほど小さな屋根3層を持つ塔が建ち、ネワール建築の典型的な例である。このダルバール広場には、マッラ王朝とそれに続くシャハ(Shah)王朝の王宮、それに数十の寺院がある*1。
ダルバール広場は俗世界と隔離された聖なる空間ではない。カトマンズのダルバール広場は、中央部を斜めに道路が通り、そこには人だけでなく車やバイクがどんどん入ってくる。みちの脇には露店がびっしりと並び、ただ座って時間を過ごしている人も数多く、極めて世俗的、庶民的かつ聖なる場である。どこまでが広場か、広場の形状はどうかなど判然としない。全体としてひとつの空間、ひとつの広場、ひとつの境内となっている。広場のあちこちに、ダルマシャーラや塔の基壇部などの座る場があり、休憩、会話、商売の場所として多くの人々に使われている。
車は双方向通行で早朝には少ないが、日中は大変な混雑となる。日中の一定時間だけでも車の通行を禁止としてはと思うが、高密度な市街地にあり迂回路が取れない現状では難しいのであろう。

パタン Patan 
 パタンはカトマンズ中心部から約5km南、カトマンズ盆地にある街で、かつてはカトマンズ、バクタプルと並びこの地域の3王国のひとつであった。その中心であるダルバール広場にはネワール建築による旧王宮や寺院、そして水汲み場などがあり、周囲には多数の商店がある。広場内にも1か所、キオスクのような売店があった。広場中央の通路を挟んで、東(絵では右)に王宮、西に寺院群が配置されている。広場内は車の通行は制限されていた。広場の路面は煉瓦舗装となっている。
パタンは、カトマンズの中心部よりもコンパクトで静かな街である。しかしここでも多数のモーターバイクが、狭く舗装の無いみちを走り抜けていた。

patan durbar.jpg
パタンのダルバール広場(2015年4月の震災前)


◆ネワール建築
 ネパールの伝統的建築であるネワール建築は、レンガ造または木造軸組とレンガ造の混構造を基本としている。ネワール建築の特徴のひとつに、驚異的な精巧さの木彫りがある。それらが窓周りや方杖、壁面に施されている建築が多数ある。窓枠は分厚く、幾重もの組子になって、窓とレンガ壁を接合しており、他に例を見ない。ヨーロッパ建築的な様式とネパール在来のものが融合した建築意匠も多数見られる。
 ネワール建築の建物全体としての強度が不足気味であることは、大地震以前から指摘されていた。特に屋根の広がりが大きく瓦の重量が大きな層塔や、古いタイプのレンガ造で接合モルタルの強度が不足している建物などは、甚大な被害を受けた。

(続く)
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