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福島県復興公営住宅 [まちづくりの仕事]

基本設計を担当、2015年2月に完了した福島県復興公営住宅高萩団地(いわき市)と、同時期に基本設計された守山団地(郡山市)がこのほど竣工し、入居開始されたので、見てきました。これらの団地は、復興公営住宅街区デザインガイドラインに沿って建てられ、使われるようにされたものです。

【高萩団地】
高萩団地1.jpg
住宅は一戸建てと二戸一形式、平屋と2階建ての混在。中層の団地ではなく、住民がこれまで住み慣れた戸建にできるだけ近い形式とするため、そのようにした。限られた土地にかなり密な戸数を入れたのでどうかと思ったが、まずまずの密度感とバラエティであった。大半の団地が、周辺の住民が共用できる「コモン」を囲む形式となっている。
住宅そのものは県営賃貸住宅の基準により、いくつかのタイプがある。道路舗装、外構、植樹については実施設計と施工監理が及ばず、かなり画一化された固いものとなっておりあちこち気になった。舗装はコモンを含めてすべて黒アスファルト舗装とされ、しかも不同沈下を補修したためその周りが目立って残念である。実施設計と監理まで関与できるしくみがなかったためだが、公営住宅とはいえなんとかできなかったのかとの思いがある。とはいえ比較的短期間でこの住宅地が出来たのは、多くの関係者ががんばった成果ともいえよう。

20170202復興公営住宅高萩団地 (2).JPG
コモンとそれを囲む住宅。コモンはほとんどが自動車対応の仕様になってしまい、潤いが感じられないが(基本設計では緑化も考慮されていたが、その後削除された)、入居者たちの手で緑などがつくられ、ここで子どもたちが遊ぶ姿が見られるだろうか。そうなるようにサポートが必要だ。

20170202復興公営住宅高萩団地 (1).JPG
地区内に小川があるが、安全対策として周囲はコンクリートで固められ、立ち入りはできないようになっていた。地元の在来技術と素材を使うことを提案したアーチ形石橋計画は、コンクリートとボラードの橋とされた。残念。

これから徐々に入居が進み、原発事故避難者の皆さんにとって「心が和むコミュニティ」になることを願うばかりです。


【守山団地】
20170202復興公営住宅守山団地 (2).JPG
道路は、ところどころの舗装がピンコロ石にされ、自動車走行速度の抑制と路面仕上げのアクセント付けが図られている。住宅にフェンスがなく、空間が広く、公共空間と私的空間の境界が柔らかい印象。

20170202復興公営住宅守山団地 (3).JPG
住戸へのアプローチ。土地面積が限られた中に所定の住戸数を入れる必要から、このような形状とされた。駐車スペースとの境界はピンコロ石仕上げ。

20170202復興公営住宅守山団地 (1).JPG
二戸一形式住宅の中央通路。この通路に面して納戸(物置)入口が設置されており、屋外の単独物置よりも使い勝手がよさそう。

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