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Great Urban Places in Asia 43 - シンガポール Singapore 10 [アジアの都市探訪]

ホランドビレッジ Holland Village

 地下鉄MRT駅付近から、緑豊かな緩斜面を上る湾曲した街路に沿って、低中層の高級住宅街が連なる。1960年代から、中上流の欧米人向けに開発されたもので、今日でも多くの欧米人が住む。住戸タイプはバンガローbungalowと二戸一住宅semi-detached がある。駅に近いあたりには、1階がリノベーションされ大きな開口部を持ったショップ、ギャラリ、カフェレストランとなったバンガローが並ぶ。これらの住宅建築は1960年代当初の意匠が活かされ、壁面と窓枠は白でそろい丁寧に維持管理され、緑とのコントラストが美しい。それらによって高い住環境が保たれている。シンガポールにはこのような住宅地区はほとんどない。歴史的建築物として文化的価値も高く、街全体として保全する意義があるだろう。

 MRT駅周辺には、ショップハウス状の低層建築が連なったハイセンスなショップ、レストラン街やショッピングセンターがある。これらは住宅よりも後年、1980年代以降につくられたもので、住宅の良いイメージにつられて高級店、人気店が集まっている。MRT駅の開業はさらに新しく、2011年である。

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ホランドビレッジの2世帯1建物タイプの住宅。
1960年代のデザインが活かされ、丁寧に維持管理されている。


(続く)
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Great Urban Places in Asia 42- シンガポール Singapore 9 [アジアの都市探訪]

アラブストリート周辺 Arab Street Neighborhood
 この地区は旧称カンポン・グラムKampong Gelamといい、ラッフルズがシンガポールに来る前から村があった。後年、シンガポールで最大のイスラム寺院スルタン・モスクSultan Mosqueが建てられ、現在ではイスラム色が濃い地域となっている。通りによって特徴が分かれ、テキスタイル店が多い通り、マレー系などのレストランが多い通り、雑貨店が多い通り、住宅街などがある。
シンガポールは民族的には華人系が70%強を占めるが、マレー系やインド系住民も多く、欧米などからのビジネス滞在者も多い。小さな国だが多国籍多民族が暮らしており、大規模な商業系再開発地区や高層公団住宅が多い中にあって、民族色の濃い街も個性的に存在している。

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アラブストリート近くの静かな住宅街。観光客が多いストリートのすぐ隣にある。
正面はスルタン・モスク

(続く)
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Great Urban Places in Asia 41 - シンガポール Singapore 8 [アジアの都市探訪]

チャイナタウン Chinatown

 世界どこでもチャイナタウンには密度と活気、庶民性、エネルギーがある。シンガポールも例外ではない。中国系民族は、シンガポール最大の人種グループでもある。
 シンガポールのチャイナタウンは地下鉄駅前にある中核的なショッピングセンター・住宅複合施設と、その周囲にあるショップハウス街区で形成されている。ショッピングセンターはオーチャードロードやマリーナベイのものとは全く異なる庶民の日常的なもので、大変な活況を呈している。
 チャイナタウンは「牛車水」cow cart waterという別名で知られている。これは、チャイナタウンの水は、19世紀には動物に引かれた車によって供給されていたことに由来する。この地には、14世紀にすでに中国人の集落があった。シンガポールが創設された1819年から数十年程度以内でこの地に人口集中が進み過密状態になった。ラッフルズは、中国人がこの地域における主要な民族になることを見通し、シンガポール川河口の南西部一帯を中国人の居住に供することとした。それによりこの地域がチャイナタウンとして確立することとなった。チャイナタウンの開発が本格的に始まったのは1843年、行政が土地を取得あるいはリースを受けて住宅やショップハウスの建設を開始してからである。1960年代になると、HDBが主導して住民の移住を進めたため、過密問題は緩和されたが、現在でも高密度な状態が続いている。
 ショップハウス街区の一部は観光客向けの土産店、飲食店街になっている。そこには華人の生活があふれているが、マレーやインド系の人も少なくない。ショップハウスは元々の形状や装飾のまま赤、青、茶、黄色、緑、ピンクなどに塗られ、中華風の看板が取り付けられている。基調色は白か淡いパステルカラーが多い。店舗はみちに向かって大きく開き、庇が連続して掛けられ、土産物や椅子テーブルはみちにせり出し、路上には紅白提灯がぶらさがるなど、すっかり中華風にアレンジされ馴染んでいる。元来の窓廻りのデザインは、ヨーロッパの影響を受けていると見られるものも多い。
 現在は、チャイナタウンの大部分は国の歴史遺産地区national heritage sitesに指定され、保存対象となっている。

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歴史的建築ショップハウスが中華風やエスニック風に装飾され、独特の雰囲気を生み出している。

(続く)
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Great Urban Places in Asia 40 - Singapore 7 [アジアの都市探訪]

オーチャードロード Orchard Road

シンガポールの豊かさを代表するファッショナブルな通りで、シンガポールのメインストリートといってよい。大規模でハイエンドのショッピングセンター、ブランドショップ、ホテルが並ぶ。長さは3キロメートルにも及ぶ。大きな街路樹の下を、世界各地からの観光客が行き交う。街路の全幅は約30メートル、歩道幅は6-7メートル程だが、沿道の商業施設が広いセットバックを取っており、歩道と一体化した広く連続した歩行空間が設けられている。それでも、アクティビティの密度は高い。
街路樹は高く、葉張りは大きい。葉の密度がやや低い常緑樹で歩道を天蓋のように覆い、熱帯都市らしい雰囲気を醸し出している。自動車レーンは5車線あり、一方通行とされている。

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オーチャードロード。広い歩道に高木の街路樹が続き、世界から裕福な観光客が集う。
沿道にはブランド店、大型ショッピングセンターが連なる。

(続く)
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Great Urban Places in Asia 39 - シンガポール Singapore 6 [アジアの都市探訪]

マリーナベイ Marina Bay

 シンガポールはアジア、世界の金融・ビジネスセンターとして成長を続けている。1970年代から、シンガポール政府とURA urban redevelopment agencyはマリーナベイの一部を埋め立て、中心部の拡張を図ってきた。都心部にはすでに超高層ビルが林立しており、さらなる開発が内湾周辺のマリーナベイ地区に展開されている。2017年時点では大規模な商業複合施設と公園がオープンしている。
 3本のタワーが頂部の船でつながったかたちのマリーナベイサンズは2010年オープンで、カジノ、高級ショッピングセンター、ホテルの複合商業施設である。「未来都市」を実現したようなイメージで、現代シンガポールの代表的なアイコンとなった。この構想、規模、ダイナミックな形状と存在感には驚かされる。ディテールデザインはモダンでシンプルに見えた。
 街区と建築のスケールは巨大で、平面的にも立面的にもヒューマンスケールをはるかに超えている。遠景としてもインテリアとしてもダイナミックで興奮を覚えるが、毎日ここを歩くとしたら退屈かもしれない。地下鉄駅までの距離は長く感じられる。
 これらの施設の運営には非常に高度の維持管理とプログラムが必要になる。徹底して管理された人工的空間であり、世界トップクラスの経済力と技術力があってこそ実現される空間だ。内湾のマリーナベイに面する広々としたウッドデッキは、住民や観光客など多くの人々の集いの場となっている。シンガポールは一年中暑いので、夜に集える屋外空間は人気が高い。このデッキは大規模商業施設の一部だが無料で誰もが使えるパブリックスペースであり、現代シンガポールの夜を体験し楽しむ場となっている。

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マリーナベイサンズ前の大型ウッドデッキ。多くの人たちが集う。
水上ではレーザービームも交えた光、水、炎、サウンド、映像のショウも行われる。

 1970年代から1980年代の終わりにかけ、シンガポールでは現代建築が都市開発の主役となった。初期のタイプの商業超高層建築が今も残っており、後年にはポストモダン様式の超高層も建てられ、都心部は超高層建築の見本市のようになっている。2016年に、シンガポールで最も高いタワーであるTanjong Pagar Centreが建設された。それまでは建築の最高高さはそれ以前に建設された3つの最高タワーにあわせて280mに制限されていたが、この建築はそれを超える290mであった。近年では、シンガポールのみならず世界の都市で目立つ建物distinctive structuresが志向されるようになり、それによって都市のイメージを国際的に高める競争がおこっている。その代表例がmarina bay sandsであるといえよう。

(続く)
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