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David Sim講演&シンポジウム

 10月9, 10の両日、芝浦工業大学でヤン・ゲール事務所のデイビッド・シム氏をお迎えし、パブリックライフ・パブリックスペースをテーマとした講演会とシンポジウムを開催しました。鈴木研究室は企画主体として、運営事務局を担当。9日は大宮キャンパスで「ゲール事務所の世界での仕事」についての講演、10日は豊洲キャンパスで、国内で活躍している”プレイスメーカー“6名をパネリストにお迎えし、「日本のパブリックライフを豊かにするにはどうしたらよいか?」についてデイビッドの講演とパネルディスカッションを行いました。
その詳細な記録は他の場でされるとして、私の意見、感想を記します。
 まず、このテーマに関するデイビッドの情熱に感嘆しました。彼は世界のさまざまな都市で、調査や計画の実務、教育・啓発活動を長年行っているエキスパートですが、その精力的な活動を支えている情熱、使命感はすばらしいものです。今回も忙しい日程の合間を縫って来日し、非常に熱心に講演活動などをしてくれました。日本の関係者に彼のファンが多いのも当然のことと思います。改めて感謝します。
 日本では近年、パブリックライフやスペースの充実化を求める動きが各地で出ており、大変良いことです。今後それを定着させ、発展させるためにはどうすればよいか?
ざっと挙げただけでも次のような課題があります。
 法制度の問題。パブリックライフを豊かにするために、有効な法制度はどのようなものか?弊害のある制度のブレイクスルーは、どのようにすればできるか?
 旧来からの行政縦割り、権益確保意識がいまだに非常に強いなかで、どのようにして分野横断的取り組みができるか。
 企業を巻き込む方法は?資金面、社会への影響力、市民参加などの観点から、企業の協力が重要。
 一方、企業の目先の利益優先の姿勢に対する対策、たとえば売り逃げデベロッパーに対する効果的な対策はどうしたらよいか。
 樹木、緑がある街路に面した建物のほうが不動産価値が高いということを論証することができるか。近年話題になっているESG(環境、社会、ガバナンス)を重視した投資をどうやって誘発するか?
 交通工学などに基づいた標準的土木設計に対し、人間行動の原則にもとづいた空間設計をどうやって行い、実施するか。
 一過性のイベントや社会実験だけに終わらせないためにどうしたらよいか。市民や企業の参加意欲を促し継続するしくみは?
 日本での自転車の安全・快適走行の普及や、駐輪整理の方法はどうすればよいか。

どれも容易に結論が出せる問題ではありませんが、ひとつひとつに丁寧に取組んでいくことが大切と思います。その際に留意したいことを挙げてみます。
 心理学、福祉、健康、経済など幅広い専門家と組む。
 市民の声を広く聞く 市役所、警察など関係者との対話は必須。
 効果を数字で示す、見える化する。相手にとって関心があり、わかりやすい方法で。
 政治的な活動も必要。
 空間や行動を厳密に管理しすぎない。
 まずはやってみせる。
 地元の地形、文化、気候、歴史、産業などの個性を尊重する。
 ねばりづよく、続ける。
 デザイナーや計画者が主役ではない。使う人が主役。
 デザインを発する!シンプルな概念図、平・断面図、パースなどで。

20171009 david at suzuki lab SIT.jpg
研究室にDavidをお迎えしました


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