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ジェイン・ジェイコブス生誕100周年記念シンポジウム 早稲田大学 [都市計画]

7/16(土)、早稲田大学でジェイン・ジェイコブス生誕100年記念シンポジウムが行われました。講演と報告が合計5題、その後、会場との質疑を含めたパネルディスカッションがありました。私は司会進行を担当し、パネルにも加わりました。今回は経済面からの論題が多く、パネルでは私ひとりが都市プランナーあるいはまちづくり活動実践者という感じになり、自然とその方面を擁護するような発言となりました。延べ5時間以上の長丁場で、参加者の皆様おつかれさまでした。主な論点は以下の通り(鈴木の私的な整理)で、総じては、ジェイン・ジェイコブスから学ぶべきことは多方面にわたり、まだまだ非常に多いということです。

・都市経済は複雑系として進化するものであり、それにふさわしい設計、成長戦略が必要。
・地域の成長のためには、母集団を適切な大きさに分割する必要がある。
・直列型戦略と並列型戦略があり、複雑系の時代には並列型とすることが効果的。
・日本の会社のダイバーシティマネジメントは、受身の対策になっている。
・ジェイコブスは都市の多様性、複雑性が発展の基盤と考えた。進化を制御するのではなく、多様性を活かすことが必要。

・ジェイコブスは、都市機能の合理的純化論、それによる都市文明を批判した。
・新産業の創出が軸。地域の技術と人材が重要な資源。
・現在は第4次産業革命と都市再生の時代。
・都市はデジタル拠点、グローバルなデジタルハブとしての機能が重要になる。
・新しい創業者の時代になっており、既存の中小企業はビジネスモデルを根本的に変えるべき。
・知識は統合的、分析的、象徴的の3類型となり、それを3つの角におき、主要産業を位置づける。その図によって地域産業の立地特性がわかり、それが都市計画にも役立つ。

・ジェイコブスは、中小企業は都市の多様性を生み出す源泉とした。中小企業は都市的現象である。中小企業が存在することが都市に多様性を与える
・都市の多様性がイノベーションを生み出す。都市の発展はイノベーションが持続的に生み出されることによってもたらされ、それができなくなったときに都市は衰退する
・成功する中小企業とそうでないものの差は、シーズ発想か、ニーズ発想かによる。
・シリコンバレーの企業は小規模、フラットな形態を保ったことが、ITの勝利者となった要因(サクセニアン論文)

・イノベーションは特定の地域でしか起きていない。イノベーションフレンドリーな地域とはどういう条件か、どういう条件なら新産業が起きるのか。国や地域の発展はイノベーションの持続性にかかっている。
・イノベーションはどうやって起きるのか?ポイントは差別化と市場性。
・新製品開発には暗黙知が多く、それはネットでは語れないので、地域への集積が重要。
・産業の集積理由は、固有の労働者、補助産業、知識が地域に集積していること。

・ジェイコブスの都市論の価値基準として、「都市コミュニティの安定性と継続性」、「見知らぬ人々がお互い干渉せずに生活」、「空間特性と社会特性の多様性を尊重」、「都市の発展のダイナミズムを尊重」。
・ジェイコブスの方法論としては観察が最大の特徴であり、地域の協働により実践し、非計画的な猥雑性、元からある生活環境を守り、ヒューマンスケールを大事にする。住民はまちづくりの政治プロセスを選択する主体である。

以下は、パネルディスカッションにおける鈴木の発言要旨。
・上位機関による鳥瞰的都市計画は行き詰まっており、コミュニティが都市計画、まちづくりの主体となるべきことは明らか。地域の声をよく聴き、それに寄り添うことがプランナーに求められており、そのように実践している人も多い。
・ジェイコブスの「4原則」は、そのような実践の立場からは、もはや当然のこととして捉えられる。ジェイコブスはそのことをはじめて体系的に、分かりやすく、シンプルに提言した。発表されたのは50年以上前と古くてもいまだに新鮮な知見である。
・日本の都市計画制度やプロセスにおいては、公開の場で全うな議論がなされない。そのため記録が残らず知見の蓄積や反省がなされない。日本人の社会性や国民性も関係するが、もっとオープンな議論が必要。そのためにはコミュニティ主体で、ひとりひとりが小さなジェインとして発言、行動することが大切。

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